不登校のその後
学校の外から、その先の人生を考える。
大学進学

大学入学後に困ること

最終更新 2026-08-27

入ってからのほうが難しい、という人は少なくありません。授業より、人間関係と生活のほうが問題になります。私が入学後に困ったことと、今ならこう考える、という話です。

このページの要点

  • 同年代との関わり方が分からなくなっている。戸惑うのは当然で、無理に馴染もうとせず、合わない場からは距離を取ればいい
  • ただし理系は、過去問や実験の情報を回してくれる友人・先輩が一人いると格段に楽。浅くていいのでつながりを作る
  • 大学では誰も自分のことを気にしていない。人間関係は社会に出る前の訓練だと思って、浅く付き合いながら身の処し方を学ぶ

同年代との関わり方が、分からなくなっている

不登校や中退を経て大学に入ると、最初に気づくのはこれです。同年代の人と、どう話せばいいのか分からない。中学や高校で何年か集団から離れていると、雑談の入り方、距離の詰め方、グループの中での立ち位置の取り方といった、周りが自然に身につけているものが、自分には抜けています。

私もそうでした。授業の前後で周りが普通に話しているのを見て、何をどう話しているのか分からない。話しかけられても、返し方が分からずに会話が途切れる。学力で追いついたつもりでも、ここは追いついていなかった、と入学後に気づきます。

これは、戸惑って当然のことです。練習していないのだから、できなくて普通です。まず「自分だけがおかしい」と思わないことが、最初の対処になります。

戸惑う場からは、距離を取ればいい

大学の良いところは、その場にいなければならない集団がないことです。中学や高校と違って、クラスに閉じ込められません。合わないグループ、疲れる飲み会、居心地の悪いサークル。そういう場からは、距離を取っていい。誰かに断りを入れる必要もありません。

コミュニケーションに戸惑うことはあります。でも、戸惑う場のすべてに参加する必要はありません。無理に馴染もうとして消耗するくらいなら、自分のペースで過ごせる場所(図書館、少人数のゼミ、研究室、特定の授業)に軸足を置いて、そこから少しずつ広げるほうが長続きします。

ただし理系は、友人と先輩を作っておいたほうが楽

距離を取っていい、と書いた直後に逆のことを言います。特に理系の学部では、仲の良い友人や先輩が一人いるかどうかで、大学生活の難易度がかなり変わります。

理由は実務的です。過去問。実験レポートの書き方。どの授業が楽で、どの教授が厳しいか。履修の組み方の定石。こうした情報は、公式にはどこにも書いておらず、人づてにしか回ってきません。一人で全部の授業に真正面から当たると、必要以上に苦労します。

深く付き合う必要はありません。同じ実験班の人、同じ学科の一つ上の先輩。挨拶ができて、たまに情報をもらえる程度の関係が一人か二人あれば十分です。「友人を作らなければ」と気負うのではなく、「情報が入るルートを一本確保する」と考えると、気持ちの負担が減ります。

意外と、誰も自分のことなんて気にしていない

これは入学してしばらく経ってから分かったことです。大学では、自分のことなんて誰も気にしていません。

キャンパスで堂々とナンパをしている人がいました。私には信じられませんでした。あんなに目立つことをして、周りにどう思われるか気にならないのか、と。でも、周りの人は誰も気にしていないし、本人も含めて、皆、明日には忘れています。

不登校を経験した人は、周りの視線をとても強く意識する傾向があります。教室に入るときに見られている気がする、休んでいた自分がどう思われているか気になる。中学や高校では、実際に見られていたかもしれません。でも大学では、その前提が崩れます。数千人、数万人がいて、毎日違う人と違う場所ですれ違う。自分の失敗も、変な発言も、翌日には誰の記憶にも残っていません。

この事実は、少し寂しくもありますが、不登校経験者にとっては解放でもあります。見られていないなら、失敗してもいい。

大学の人間関係は、社会に出る前の訓練

大学には、良い人も悪い人もいます。親切な人もいれば、利用しようとする人もいるし、平気で嘘をつく人もいます。高校までの守られた集団とは違って、大学は社会にかなり近い場所です。

私は、大学の人間関係を「社会に出たときのための訓練」だと考えるようになりました。会社に入れば、もっと多様で、もっと逃げにくい人間関係が待っています。そこでいきなり対応するより、大学で一度、練習しておく。

練習のコツは、浅く付き合うことです。深く関わって傷つく前に、いろいろな人と浅く関わって、「この手の人にはこう接する」「この距離感なら疲れない」という自分なりの身の処し方を覚える。それが大学で身につく、授業以外の一番大きなものだったと今は思います。

アルバイトと、勉強と、奨学金

アルバイトはやってみるといいと思います。社会との接点になるし、お金も入る。ただ、私には合いませんでした。人間関係の負担が授業の外にまで広がって、肝心の勉強に集中できなくなった。向き不向きがあるので、合わなければ辞めていい。

その上で言うと、できればきちんと勉強してほしい。不登校や中退を経て大学に入った人は、ここで身につけた専門性が、この先の足場になります(良い大学を選ばなくてもいい?)。アルバイトで時間を削るより、勉強に時間を使ったほうが、長い目で見て返ってくるものが大きい。

生活費が理由でアルバイトを増やしているなら、奨学金を検討してください。日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は、無利子の第一種と、有利子の第二種があります。第二種の利率は上限が年3%と決まっていて、実際には市場金利をもとに貸与終了時に決まり、近年はそれよりかなり低い水準です。民間の教育ローンと比べると、かなり有利な条件だと私は思っています。ただし、これは借金です。卒業後に返すことを前提に、必要な額だけ借りる。世帯の所得によっては、返済不要の給付型(高等教育の修学支援新制度)の対象になることもあるので、入学前に大学の学生課で確認してください。

そのほか、知っておくと楽なこと

「高校どこだった?」への答えを決めておく。大学ではこの質問が意外と多いです。詳しく説明する必要はなく、「高校は途中で辞めて、高認から来た」で終わりにできます。相手はたいてい「へえ」で流します。ここで身構えると、かえって話が長くなります。

1限を避けて履修を組む。生活リズムが崩れている状態で朝一番の授業を入れると、出られなくなって単位を落とし、そこから連鎖します。最初の学期は無理のない時間割にして、慣れてから戻す。

学生相談室を使う。どの大学にもあり、無料で、教員に知られません。不登校経験者にとっては、学校の中で初めて「使いやすい」窓口かもしれません。

休学と再履修は、使っていい制度。限界が来る前に休学する。落とした単位は取り直せる。大学は、中学や高校よりずっと、やり直しが利くように作られています。

入学の前の話は高認から大学受験する方法高認と大学受験はまったく別物だったへ。なぜ大学が不登校経験者に合いやすいのかは再登校よりも、入学で世界を変えように書きました。

参考・公式情報

奨学金の利率・制度は年度ごとに変わります。借入は返済義務を伴うため、最新の条件を日本学生支援機構と大学で確認してください。