不登校のその後
学校の外から、その先の人生を考える。
不登校になったら

不登校の親が自分を責めなくていい理由

最終更新 2026-08-27

子どもが学校に行かなくなると、多くの親は最初に「育て方が悪かったのではないか」と考えます。しかし、大切なのは誰のせいかを探し続けることではなく、不登校になったあとをどう生きていくかを考えることです。

このページの要点

  • 不登校の原因は一つとは限らず、家庭の外にある要因(人間関係・学校環境)を親がすべて把握することはできない
  • 「不登校になった責任」と「不登校になったあとの責任」は分けて考える。必要なのは責任を感じることではなく、果たすこと
  • ゴールは元の学校に戻すことではなく、その子が自分の力で生活していけるようになること。道は一つではない

子どもが学校に行かなくなると、多くの親は最初にこう考えます。「育て方が悪かったのではないか」「もっと早く気づいていれば」「あのとき、違う対応をしていれば」。

しかし、不登校になったという事実だけを見て、親が自分を責め続ける必要はありません。大切なのは、誰のせいで不登校になったのかを探し続けることではなく、不登校になったあとをどう生きていくかを考えることです。

不登校の原因は、家庭の中だけにあるわけではない

不登校には、一つだけの原因があるとは限りません。友人関係、いじめ、教師との関係、学習についていけないこと、学校という集団へのなじめなさ、心身の不調、不安など、さまざまな要因が重なっていることがあります。

文部科学省の調査でも、不登校の児童生徒について学校が把握した事実として、友人関係の問題、学業の不振、生活リズムの不調、不安・抑うつなど、複数の項目が並んでいます。また、本人に直接たずねた別の調査では、本人が挙げる理由と教師の認識との間に差があり、学校側や大人が把握できていない人間関係の問題があることも指摘されています。

つまり、子どもが学校に行けなくなったからといって、「家庭に問題があった」「親の育て方が悪かった」と直結させることはできません。

子どもは、学校で起きていることをすべて親には話さない

これは特に覚えておいてほしいことです。子どもは、クラスで嫌なことがあったからといって、そのすべてを親に話すとは限りません。

嫌なクラスメートがいる。グループの中で居心地が悪い。からかわれている。無視されている。先生と合わない。しかし、それをうまく言葉にできなかったり、「親に心配をかけたくない」と考えたり、「こんなことで学校に行けないと思われたくない」と黙ってしまうことがあります。

親から見れば、「昨日まで普通だったのに、急に学校へ行かなくなった」ように見えることもあります。けれど、子どもの中では、ずっと前から何かが積み重なっていたのかもしれません。

そして、クラスメートや学校環境そのものは、親が完全にコントロールできるものではありません。だから、知らなかったことまで含めて「親である自分が防げなかった」と責任を背負い込む必要はありません。

大人だって、合わない環境から離れる

少し視点を変えてみましょう。大人も、職場がどうしても合わなければ転職します。仕事内容、賃金、労働条件、会社の将来、人間関係。理由はさまざまです。厚生労働省の雇用動向調査を見ても、人間関係は離職理由の一つであり、それ以外にも労働条件や仕事内容など、環境とのミスマッチが大きな理由になっています。

大人には「この会社は自分には合わないから、別の会社へ行く」という選択肢があります。それなら子どもにも、「この学校、このクラス、この環境が自分には合わない」ということがあって当然です。

学校から離れたという事実だけで、本人や家庭に重大な欠陥があったと考える必要はありません。

「不登校になった責任」と「不登校になったあとの責任」は分けて考える

ここは、とても重要です。子どもが不登校になったことについて、親が罪悪感を抱え続ける必要はありません。

しかし一方で、子どもが未成年である以上、不登校になったあとの環境をどう整えるかについては、親の役割は大きいと私は考えます。ここで必要なのは「自分を責めること」ではありません。必要なのは、責任を感じることではなく、責任を果たすことです。

過去を振り返って「あのとき何が悪かったのだろう」と何年も考え続けるより、「では、ここからどうするか」を考える。この切り替えが重要です。

最も大切なのは「不登校の出口戦略」を考えること

不登校になったとき、親が考えるべきなのは「何とか元の学校に戻すこと」だけではありません。本当のゴールはもっと先にあります。最終的に、子どもが自分の力で生活していけるようになること。私はこれを、不登校の「出口戦略」だと考えています。学校復帰は、そのための選択肢の一つにすぎません。

通信制高校へ行く。定時制高校へ行く。高卒認定を取る。専門学校へ進む。大学へ行く。海外へ留学する。就職する。道はいくつもあります。

「みんなと同じ高校へ戻ること」だけを成功と考えてしまうと、親も子どもも苦しくなります。重要なのは、この子が将来、自分で食べていくためには、どの道が合っているのかを考えることです。それぞれの道は高校中退後の進路高卒認定とはで具体的に説明しています。

大学だけが正解でもない

不登校になると、親は進学の遅れを心配します。もちろん、大学進学も有力な選択肢です。しかし、大学だけが正解ではありません。

専門学校で技術を身につけた方が向いている子もいます。環境を大きく変えて留学した方が力を発揮する子もいるでしょう。早い段階から仕事につながる技能を身につける方が合っている子もいます。

「世間一般では何が正解か」ではなく、この子は何が得意で、どのような環境なら力を発揮できるのかを見ることが重要です。不登校を経験したからこそ、全日制高校から大学、会社員という一本道だけにこだわらず、幅広く考えることができます。

働き方も一つではない

将来について考えるときも、「会社員になれるか」だけで判断する必要はありません。現在は、会社員以外にも、フリーランス、個人事業、起業、在宅勤務、専門職、技術職など、さまざまな働き方があります。

人との関わりが多い環境が得意な子もいれば、一人で集中して作業する方が力を発揮する子もいます。組織に所属することが向いている人もいれば、専門技能を身につけ、自分の裁量で働く方が向いている人もいます。

だから親に必要なのは、「普通の道に戻すこと」ではなく、子どもの適性を見つけることです。

親が見るべきなのは、過去ではなく「その後」

子どもが不登校になると、どうしても「あのとき」に目が向きます。なぜ学校へ行けなくなったのか。何が悪かったのか。自分に何ができたのか。原因を理解することは必要です。しかし、原因探しだけでは人生は前へ進みません。

不登校になったこと自体を、親が一生背負う必要はありません。その代わり、不登校になったその後を、一緒に考える。どんな高校へ行くのか。高認を取るのか。何を学ぶのか。どんな仕事をするのか。どうすれば一人で生活できるようになるのか。そこには、親だからこそできることがたくさんあります。

不登校の「原因」に責任を感じ続けるのではなく、不登校の「その後」に責任を持つ。それが、親にできる最も建設的なことではないでしょうか。

学校へ行けなくなっても、人生はそこで止まりません。大切なのは、元の道へ戻すことではなく、その子なりの出口を見つけ、その先へつなげることです。最初の一歩は不登校になったあと、まず何をする?にまとめています。

参考・公式情報