不登校のその後
学校の外から、その先の人生を考える。
高校・進路

フリースクールってどうなの?

最終更新 体験・私見

私の時代には、今ほどフリースクールが充実していませんでした。だから、これは通った側ではなく外から見てきた人間の私見です。良いところと、任せきりにしないほうがいい理由を、分けて書きます。

本記事は筆者の体験と見解です。進路の判断は、本人の状態や学校・支援機関の最新情報と合わせてご検討ください。

このページの要点

  • 子どもと親が社会とのつながりを保ち、同じ悩みを共有する居場所としては良い。従事している人も子ども好きが多い印象
  • ただし、新しい場所に自分から入っていく経験と、学力・資格は、フリースクールだけでは積み上がりにくい
  • 居場所として活用しながら、本人の状態を見て、家庭・学校・支援者が進路と学習方法を別途考える。見学では卒業生の進路を聞く

私の時代には、なかった

私が不登校だった20年以上前、フリースクールは今ほど充実していませんでした。数も少なく、近くになく、出席扱いの制度もほとんど知られていなかった。だから私は、フリースクールに通った経験がありません。この記事は、通った側ではなく、大人になってから利用者や関係者の話を見聞きしてきた側からの私見です。その限界を承知の上で読んでください。

良いところ:社会とのつながりが切れない

不登校になると、子どもも親も、社会から切り離されます。子どもは同年代と会わなくなり、親は「うちだけ」という孤立の中に入る。フリースクールは、この切断を防ぐ場として機能しています。

子どもにとっては、家以外に行く場所があり、大人以外に話す相手がいる。親にとっては、同じ悩みを持つ親と会い、情報を交換し、一緒に解決していける。この「同じ悩みを共有する場」としての価値は、私は高く評価しています。従事している人たちも、子ども好きな人が多い印象です。学校に居場所がなかった子が、初めて「ここにいていい」と言われる場所。それがフリースクールの一番の役割で、それ自体は疑っていません。

令和6年度の文部科学省の調査でも、学校外の機関で相談・指導を受けて出席扱いになった子は4万人を超えており、制度の上でも居場所として位置づけられています(『出席扱いになる条件とは』)。

ただし、フリースクールだけで完結するとは限らない

ここからが、この記事で言いたいことです。フリースクールは居場所としては優れていますが、進路と学力まで、そこだけで完結するとは限りません。理由は二つあります。

一つは、経験できる人間関係の幅です。フリースクールは、少人数で、メンバーが比較的固定されていて、大人が守ってくれる場所です。その中で人間関係を築けるようになることは、大きな一歩です。ただ、社会に出てから何度も必要になる「新しい場所に行って、知らない人の中に自分から入っていく」経験は、守られた場所ほど積みにくい。フリースクールが悪いのではなく、その場の性質として、練習の機会が生まれにくいということです。

もう一つは、学力と資格です。フリースクールの多くは、学校のような到達目標や進級の仕組みを持ちません。学習支援をしているところもありますが、高卒資格を出すのは通信制・定時制高校であり、大学受験の資格は高認か高校卒業で得るものです。フリースクールに通っているだけでは、資格も受験に必要な学力も、自動的には積み上がりません。

私が見聞きした範囲では、この二つを別の場所で補っていた人と、フリースクールに任せきりにしていた人とで、その後の進み方に差があったように感じます。これは統計ではなく印象なので、例外は多いと思います。ただ、任せきりにしないほうがいい、という感覚は持っておいて損はありません。

居場所として使い、進路は別途考える

だから私の考えはこうです。フリースクールは、居場所として、社会とのつながりを切らさないための場所として、使う価値があります。親が孤立しないための場所としても、使う価値があります。

その上で、進路と学習方法は、本人の状態を見ながら、家庭・学校・支援者が別途考える。通信制や定時制で高卒資格を取るのか、高認を受けるのか、大学を目指すのか、働くのか。資格をどこで取るかを決め、学力をどこで積むかを決める。フリースクールに通っている間こそ、その先を一緒に考える時間だと思っています(『通信制高校の学費、実際いくらかかる?』『高卒認定とは』)。

フリースクールの人たちは誠実で優しいかもしれませんが、その子の進路を代わりに決めてはくれません。居場所を用意することと、そこから先の道を本人と一緒に作ること。その両方があって、はじめて守ったことになるのだと思います。

使うなら、こう使う

私がもし今、不登校の子の親で、フリースクールを検討するなら、次のように考えます。

  • まず「回復と社会との接続の場」として使う。何のために通うかを、親の中で言葉にしておく
  • 学力と資格は別の手段で確保する。通信制のレポート、オンライン教材、高認の勉強。フリースクールの学習支援があっても、任せきりにしない
  • フリースクール以外の場所にも、少しずつ出る機会を作る。習い事、短期の講座、アルバイト。「新しい場所に入る」経験をどこかで積む
  • 出席扱いにできるかを在籍校に確認し、記録を残す
  • 次の入学(高校・大学)を一つの区切りとして逆算する(『再登校よりも、入学で世界を変えよう』)
  • 見学のときに、卒業生がその後どんな進路に進んでいるかを聞く。答えられる施設は、進路まで見ている

フリースクールを否定したいわけではありません。私の時代にあったら、通っていたかもしれない。ただ、通った先に何があるかを、通う前に一緒に考えておいてほしい。それが、外から見てきた人間が言えることです。